中華イヤホン、KZ AS06を買ってみた。バランスド・アーマチュアを左右各3基搭載した高音質イヤホンをリーズナブルに体験する!
真面目に音楽を聴いたり編集などするときはサウンドハウスのモニターヘッドホンCPH-7000を愛用していますが、イヤホンタイプでコスパの良いものを探していたところ、中華イヤホンの雄、KZに出会いました。
KZのイヤホンはたくさんのラインナップがあり、選ぶのが楽しくも大変ですが、コスパの良さそうなAS06を選びました。
Aliexpressで個人輸入した方が安いですが届くまで数週間かかるので、お忙しい諸兄はAmazonでさくっと買ってしまいましょう。・・・とは思うのですが、小生はAliexpressで注文する道を選んでしまいましたw
中国からはるばる届くまでの間に、色々調べました。まずはヘッドホンとイヤホンの違いから。なにか定義があるんでしょうか。
イヤホン
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%B3
イヤホンとは「電気信号を音響信号に変換する電気音響変換器で音響的に耳に近接して使用するもの」をいう(電子情報技術産業規格3.1)。
ヘッドホン
ヘッドホンとは「1個又は2個のイヤホンとヘッドバンドもしくはチンバンドと組み合わせたもの」をいう(電子情報技術産業規格3.2)。
なんとなく使い分けていたイヤホンとヘッドホンの語の違いですが、ようやく合点がいきました。耳に入れたり当てたりする"もの"の大小ではなく、それがヘッドバンドなどでつながっているかどうかなのですね。ということは、先日レビューした中華骨伝導ヘッドホンやBackBeat FITは、とてもコンパクトですがヘッドホンという分類にになるわけですね。
KZ AS06はバランスド・アーマチュア(BA)を搭載しています。バランスド・アーマチュア・・・初めて聞きました。
従来よりあるダイナミック型ドライバは、サイズを大きくすることで高音質化を図れるが、イヤホンに搭載するには当然ながら大きさに限界があります。BAはそれよりはるかに小型化でき、かつ各帯域に適したBAを複数搭載することで高音質なイヤホンを構成できる、ということのようです。ただBAを搭載したイヤホンは一般的に高価で、国内有名メーカーのBA搭載イヤホンはBA1基搭載のものでも1万円弱の値がつけられています。
一方のAS06は、そんな高価(と思われる)BAを左右に各3器(Mid-High, Mid, Bass)搭載しているのに、日本円で5千円以下というバリュープライス。否が応でも期待が高まります。
ここまで内部構造を明らかにしてしまうのも、さすが中華メーカーといったところ。
さてさて待望の荷物は、深圳から約3週間かけて届きました。
かなりコンパクトなパッケージです。
パッケージ裏面には仕様が書いてありました。
Weight | 25g±3g |
Plug Type | 3.5mm |
Pin Type | 0.75mm |
Frequency | 20-40,000Hz |
Inpedance | 15Ω |
Sensitivity | 105dB/mW |
イヤホン本体が見えました。
内容物は、イヤホン本体とケーブル、イヤーピース大中小3組(中サイズはイヤホンに取り付けられています)、取説と保証書。
イヤホン本体をアップで撮影してみました。左右合わせて6基のBAということから6をモチーフにしたデザインなのでしょう。なんとなく、ひとつのイヤホンに3基のBAなのですから、6を全面に出すのには違和感を覚えますが、中華ヘッドホンはこういう表記というか売り出し方が普通のようです。
イヤホンケーブルは取り外し式で、付属のケーブルのほか、素材やプラグなど特性の異なるケーブルに取り替えて違いを楽しむ"リケーブル"という楽しみもあるそうです。
非常に参考になるサイトです。
イヤーチップを取り外してみました。BAの格納された部分とは細かいメッシュで遮られています。
ケーブル先端がこのような造形になっているのは、イヤホンをいわゆるシュア掛けするためです。
またもやAliexpressの販売サイトから画像を借用しましたが、このように耳の後ろにケーブルを通過させるように装着することを、イヤホンメーカーshureの名を取ってシュア掛けと呼ぶわけです。
ケーブルの途中にあるのはマイク。このイヤホンで通話する気はありませんけど、ボタン操作で早送りなどできるのが便利かな~と思って、マイク付きケーブルを選択してみました。
ボタンはこんな風に動作します。1回押しで再生/一時停止、2回押しで曲送り、3回押しで前の曲、となるそうです。
プラグは普通の3.5mmステレオプラグ。ケーブルの左右分岐部分はこんな造形です。
ケーブルが撚り線になっていて、プラグ部分は4芯、左右に2芯ずつ分かれていることがわかります。
2ピンタイプのコネクタ形状を確認し・・・
左右(LR)を間違えないように接続します。
取説は英語と中国語。
非常に小さな字なので肉眼では読みづらいです。パソコンやスマホなら拡大なども自由ですから、どうぞご覧ください。
さてワクワクしながらスマホのヘッドホンジャックに接続し、AS06の音を聴いてみました。うん、特定の帯域が出っ張っているとか引っ込んでいるとかはなく、すべての音がしっかりと聞こえる感じ。音が混じり合うとか、左右の定位がよくわからないということもなく、楽器それぞれの音がはっきりと、全てが対等に聞こえる気がします。
こうなってくると次に気になるのが、小生の持っている音源は全て圧縮音源だということ。さらに、スマホもiPod Touchも内蔵のイヤホンジャックから出力していますから、そもそも音質を語るレベルではないです。パソコンに入っている僅かなハイレゾ音源も、USBDACを使わなければ宝の持ち腐れもいいところ。
どうしよう、ハイレゾ音源で比較しないとイヤホンの性能もケーブルの性能もわからない!
ひとまず、いつもリファレンスで聴いているXのJearousyを、mp3ではなくflacで聴こう。イヤホンの良否を語るのはそれからだ!
ところでオーディオを語る際に出てくるエージングという語、小生は概念として否定派です。
スピーカーやアンプ、はてはケーブルまで、最初は鳴らないけど鳴らし続けることでエージングが進み、内部構造が変化して良く鳴るようになる、これがエージングということなのですが、だって工業製品ですよw箱出し直後と内部の状況が変わり、しかもその変化をメーカー側が是とするのなら、それは工業製品の設計としていかがなものか、となるわけで、逆に言えばエージングが進んだ状態がその製品が意図とする状態なら、特に高価な製品であればあるほど、その状態までエージングを進めてから販売すべきじゃないですか。
そうじゃないなら、アンチエージングという言葉もあるとおり、"エージングが進んだ状態"というのは、初期状態と変化している、言い方を変えれば故障しているとも言えるわけで。エージングが進んだ状態を盲目的に良しとし、そして二重盲検法など科学的な検証に基づかない判断なら、むしろ耳の方がエージングされてしまったというべきでしょう。
もちろん、出荷後の運搬や長期保管、温度変化などで出荷時と変化した状態から、箱出しし気温に慣らし音を出すことで正常な状態に戻る、ということはありそうですが、これはエージングとは言わないですよね。
ジャンルは異なる2つの参考サイトですが、同じテーマを語ってらっしゃいます。曰く、良いものはもともと良い、もともと悪いものが良くなることはない、変化はするが、必ずしも"良い"とされる方向に進むとは限らない、ただしユーザー側の変化で、良くなっていく部分もある、と。
すなわち、エージング肯定派・必須派は、イヤホン内部の構造の変化とそれに伴い生じる音の変化が、常に良い方向に進むと信じていることになりますが、そんなはずはないって、ちょっと考えればわかりますよねw
そういったオカルト的なものを廃して、 いろいろ試しながら中華イヤホンを楽しんでいきたいと思います。
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