傷だらけのORIENT MAKO IIを復活させる!素人が腕時計の風防交換に挑戦してみた。

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オリエント カマスとツーショットで。右が作業後のマコII。ブルーに光る風防とブラックレザーのベルト仕様で、無骨なダイバーズウオッチが都会的な佇まいになりました。

ガラス風防に傷がついたマコIIを格安で購入し、ブルーARコーティングのダブルドームサファイア風防に入れ替えるというカスタムをやってみました。

オリエント マコII (MAKO II)とは

すでに所有しているカマスは日本国内流通モデルですけど、カマスはマコIIIとも呼ばれ、もともと海外モデルだったマコシリーズの3代目にして初の国内流通モデルということになります。

小生が手に入れたマコIIはAA02001Bというモデル。海外モデルなので情報はオリエントのグローバルサイトから。

AA02001B | ORIENT: Mechanical Sports Watch, Metal Strap – 41.5mm (AA02001B) | ORIENT Watch Global Site

カマスとのデザインの違いはいくつかありますが、ムーブメントはカマスと同じCal.F6922で20気圧防水ですから、基本的な性能は変わりません。

マコIIとカマスの最大の違いは風防の素材です。マコIIの風防はクリスタルガラスで、カマスはサファイアクリスタル。クリスタルガラスは要するにただのガラスなので、より硬いものと接触すると傷がついてしまうんですね。

モース硬度 – Wikipedia

ガラスのモース硬度は5ですので、より数値の大きな石英などの鉱物やナイフの刃などで傷がついてしまいます。上の写真のとおり、小生が手に入れたマコIIは前オーナーによってハードに使われたようで、風防には横方向に何本か大きな傷が見られます。

一方で、サファイアクリスタルはいわゆる人工サファイアで、そのモース硬度は9。これより硬い物質はモース硬度最大値の10を誇るダイヤモンドしかありません。ダイヤモンドを腕時計にぶつけることなんてないでしょうから、サファイアクリスタル風防は絶対に傷が付くことはないと言っても過言ではないわけです。

ベゼルの傷は革製品の経年変化のようなものだし、ガラスの傷は専用の研磨剤を使って磨いて消すことも可能。なのでこのまま性能の良い実用腕時計として運用するのも良いのですけど、小生は風防をサファイアクリスタルに交換し、より性能も見た目も向上させてみたくなりました。

交換手順と用意するもの

ORIENT Ray-Raven ハイドームサファイア装着! – NGAの別室

手順は先人に学びましょう。まだまだ学ぶことばかりな小生です。先人たちに感謝!

専用工具を用意します。

そして重要なのが、交換用のサファイアクリスタル風防。

風防の形状は、フラット(平板)、シングルドーム、ダブルドームがありますが、小生はふんわりとしたドーム型で像も歪まないダブルドームにしたいと思いました。ダブルドーム風防の腕時計は、オリエントスターのエレガントクラシックモデルを所有しています。

風防のサイズは公式情報があるわけではないので本来は現物を計測すべきですが、腕時計カスタムパーツ大手のseikomods.comから情報を拝借しました。

CT020 – Low Double Dome Sapphire Crystal – Seiko Sea Urchin, Monster, Sumo, Shogun, Monster – Orient Kamasu, Mako/Ray – seikomods.com

seikomods.comで販売されているCT020という製品がベストチョイスであることがわかります。直径は31mmであり、これがマコIIにフィットするということが書かれています。ダブルドームで内側だけARコーティングなのもいうことなし・・・なのですが、いかんせん高い!送料込みで£46.90=約7,200円はちょっと予算オーバーですね。なにせ8,000円強で手に入れたマコIIですから。

そんなときには、僕らの味方、Aliexpress!

31mm Double dome Sapphire glass for Seiko brand SUMO SHOGUN SKZ207KC Watch crystal High Quality watch Parts|Repair Tools & Kits| – AliExpress
31mm Double dome Sapphire glass for Seiko brand SUMO SHOGUN SKZ207KC Watch crystal High Quality watch Parts|Repair Tools & Kits| – AliExpress

ありました!ちょっと厚めだけど、直径が同じ31mmだからいけるでしょう!価格は送料込み3,717円でした。

というわけで手に入れたのが、こちらのサファイアクリスタル風防です。

裏蓋外し~ムーブメント取り外し

最初にブレスを外します。バネ棒外しを使って外すのですが、今回は明工舎製作所のバネ棒外しを使って作業してみました。今までは換えバンドに付いてくるオマケの工具で作業していたのですけど、このバネ棒外しにしてみると今まで苦手意識のあったバンド交換が劇的にやりやすくなりました。この工具については別記事で紹介したいと思います。

ケースを保持器に固定。

裏蓋に傷が付かないようにビニールシートで覆い、オープナーを溝に当てて回します。

裏蓋が外れました。

自動巻きのムーブメントで、大きなローターにキャリバーナンバーF6922の文字が見えます。黒いゴムパッキンの外側に少し汚れが見えます。

リューズを外します。まずねじ込みリューズを開放しておきます。

巻き芯のやや下に穴が空いていて、そのなかにオシドリというパーツがあります。このパーツがリューズが抜けないように押さえておく役割を果たしていますので、ここに細い棒を差し込みリューズを引くと、スルッと抜けます。

リューズ&巻き芯はこんな形状。

リューズの抜けたケース。

ケースからムーブメントを外します。ムーブメント側を下にして置いたら・・・

そっとケースを持ち上げると、ムーブメントが外れました。

風防交換作業が終わるまで、ホコリが付かないように蓋をして保管しておきます。

ケースのクリーニング

汚れはトラブルのもとなので、可能な範囲でクリーニングしておきます。さすがに20気圧防水なのでケース内部に汚れや浸水の跡は見られませんが、ゴムパッキンの外には皮脂やホコリなどが溜まった汚れがありました。

ケース全体はエタノールに浸した綿棒でフキフキします。

裏蓋もクリーニングしておきましょう。ところでマコIIの構造ですが、ケースと裏蓋の間に、黒いゴムパッキンのほか針金状の緩衝パーツもありました。もとに戻す際に忘れないようにしましょう。

オリジナルの風防を外す

マコIIの風防はケース表側から内部方向へ圧入されています。つまり、風防を取り外すには内側から外側に押し出せばよい、ということになります。

それに使うのが裏蓋閉じ器です。本来は圧入式裏蓋を閉じるために使う工具ですが、適切なコマをセットすることで風防交換にも使えます。

風防を押し出す方(上側)に30mmのコマを、ケース外周部を保持する方(下側)に40mmのコマをセットしました。

バン!っと音がして、風防が外れました。

外した風防はこんな形状です。

厚さはおよそ3.3mm。フラットなガラス板です。

直径は31mm。購入したサファイアクリスタル風防と同じで、まずは一安心しました。

見えづらいですが、ケース側に乳白色のガスケット(パッキン)が入っています。ケースと風防の間にガスケットが収まることで、20気圧もの水圧に耐えられる防水性能を実現しているのですね。

サファイアクリスタル風防の圧入

新旧の風防を比較。青白く光を反射しているのが新しい風防です。

横から見ると違いがよくわかりますね。側面の厚さはだいたい同じように見えますが、もともとの風防には上部に面取りがあるのがわかります。新しい方にもちょっとだけ面取りがあり、そして表面の形状が違うのがわかりますね。

サファイアクリスタル風防を軽く載せてみます。うわ!これだけでとっても素敵な感じ!!

風防を圧入する時に裏蓋でケースを支えますので、手で回せる程度に裏蓋をねじ込んでおきます。

ふたたび適切なコマをセットして、少しずつ風防を圧入していきます。

あれ?ちょっと歪んでるな・・・出っ張っているところを重点的に押し込むことにします。

出っ張っているところに重点的に圧力をかけるも、いちど斜めに入った風防はなかなか水平になりません。思い切って力を込めると・・・

バキン!と大きな音が鳴って、裏蓋閉じ器が壊れました!!!支点になっている部分の金属がちぎれてしまいました・・・残念ながら圧入作業、これにて終了!なんという幕切れでしょう!

ムーブメントを戻す

工具の破損という想定外の事態にしばしフリーズしましたけれど、気を取り直して作業をすすめることにしました。

風防はこれくらいまで入っています。中途半端感はあるものの、ちょっとやそっとのことでは外れる気配はないので、とりあえず腕時計として使えるようにパーツを組み戻すことにしました。

ケース内部のホコリをブロアーで丹念に除きます。

文字盤にもブロアーを吹いておきます。

リューズ位置を合わせ、ムーブメントにそっとケースを載せ、ひっくり返します。

防水に重要な役割を果たすパッキンには、シリコングリスを塗っておきます。

パッキンを所定の位置に戻し、リューズを元に戻します。

裏蓋を締め、作業完了!

ドーム型風防のおかげか、どの角度から見ても文字盤がスッキリ見えますね。

斜め方向からの視認性も問題なし。

光の角度によっては、ブルーコーティングの色があざやかに現れます。

ドーム風防の盛り上がりはこんな感じ。ベゼルからリニアにつながっているように見え、収まりは大変良いですね!!

レザーバンドの取り付け

デフォルトのブレスはセスキ炭酸ソーダ溶液で洗浄しました。

もとのステンレスブレスに戻してもよいのですが、せっかくですのでレザーバンドに取り替えてみることにしました。

こちらはAliexpressで見つけたレザーバンドです。ラグ幅はマコIIに合わせた22mmで、観音開きDバックル仕様。購入価格は送料込みでなんと404円!

Genuine Leatherって書いてあるからたぶん本革です。そんなに高級感はないですけど、でも404円には見えないお値段以上のクオリティですよ!

バネ棒は3本付属していました。念のためオリジナル(左の2本)と比べてましたが、長さは大丈夫そう。

バネ棒工具も付属していましたがオマケレベルな代物です。

完成!

ブラックレザーバンドを纏ったサファイアクリスタル風防仕様のマコII。どうでしょうか??

風防のズレも意外と気にならず、ブラックの文字盤に時々きらめくブルーが、無骨なダイバーズに知的なアクセントを与えてくれるよう。

平面サファイアの腕時計と比べて、光の反射はこんなに異なります。

レザーバンドも腕時計の印象を180度変えてくれますね~。

自作腕時計スタンドに載せてみました。

ちなみにマコIIの蓄光塗料はこんな感じに光ります。大きなアラビア数字はやはり見やすいです。

装着してみた。

文字盤、ベゼル、そしてレザーバンドが黒でまとまっているせいか、スポーティーな印象というよりはちょっと喪服に近いような地味な見た目なのですけど、ブルーARコーティングが良い感じにカジュアルダウンしてくれていますね。TPOを選ばず使えそう。

太陽光の下では、平面風防だと反射が気になりますが、ドーム風防とARコーティングのおかげで反射が柔らかく抑えられます。全ての腕時計の風防をこのタイプに取り替えたいほど、良い具合です。

景色を写り込ませるのも楽しいんですよね!

まとめ。

マコIIへの無反射ブルーコーティングダブルドームサファイアクリスタル風防(長い)の取り付けは、苦労はしたものの大変満足のいくものでした。

取り付け途中に工具が壊れてしまったことが唯一悔やまれます。この程度で壊れるなんて、と思う一方で、風防取り付けは力任せに行うような作業では無いため、斜めに風防が入ってしまった時点でやり直すべきだったのかもしれません。

というわけで、もう一度工具を買い直して(笑)、リカバリーしたいと考えています。

つづく。

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Posted by Hermitcrab