タバコ臭い機材をなんとかする:Roland AIRA Compact J-6の場合。分解掃除の結果は7割がた満足。

欲しいけど高くて手が出ない機材がフリマサイトでちょっと安価に売ってて脊髄反射でポチってワクワクしながら到着を待ち、ようやく届いたmngを勢いよく開封した瞬間、箱からもわーんと立ち昇るタバコ臭に一気に萎える・・・中古ガジェット、特に中古音楽機材をいくつも買ったことがある方なら、一度はこのがっかり感を味わったことがあるのではないでしょうか。
■2025年2月28日追記しました♪

心得のある出品者なら商品ページに喫煙ユーザーかどうかを記載してくれるのですけど、何も書いてない場合はどうにも判断がつかないので、そんな情報不足な商品に手を出すのはある意味バクチともいえます。まあ一度でも人様の手に渡った機材を安価に手に入れようとしている時点で、こちらには清濁併せ呑む寛容さを持つ必要があるのですが。
とはいえ、非喫煙者にとって機材から立ち昇るタバコ臭は地獄以外の何物でもありません。ひどい場合はその機材を置いている部屋がタバコ臭でいっぱいになってしまうこともあります。こうなると機材を使うどころではなく、今すぐ窓から投げ捨てるか、しらばっくれてメルカリで売っ払ってしまうか、なんて後ろ向きな考えしか浮かばなくなってしまいます。

中古で手に入れたRoland AIRA Compact J-6がそうでした。昔ながらの紙巻きタバコのヤニがこびりついた臭さではなく、電子タバコと思われる、ちょっとお香にも似た甘いタバコ臭が付いていました。
mngということもあり最初は夢中になって出音を楽しんでいたので臭いも気にならなかったのですが、段々とJ-6にも慣れて冷静になってきた途端、タバコ臭が気になって仕方なくなってきました。J-6に顔を近づけるともちろん臭ってきますし、何より参ったのは、キーを押したりして操作した指に臭いが付いてくること。
タバコの臭いは一般的に、ニオイ成分を含んだ煙が機材にこびりつくことで発するそうです。極端に言うと煙で燻された状態ですね。で、そのこびりついた煙の粒子、すなわち汚れを取り除けば、臭いの発生はかなり解消されます。
ただ煙は非常に細かい粒子でちょっとしたスキマにも入り込んでしまうため、機材の表面だけをクリーニングしただけでは片手落ちと言わざるを得ないというか、その程度の作業では内部から立ち昇る臭いに対処できているとは言い難い状態にしかなりません。
というわけで・・・
まず分解

J-6を分解掃除することにしました!


最初にJ-6をまじまじと観察し、どこから分解するかの目処をつけます。
J-6側面にはスイッチや端子があるのみで、ネジは底面に6個ありました。ネジは1番サイズのドライバーがマッチしましたので、いつも使っているPB SWISS TOOLSのプラスドライバーで開けていきます。

ネジを外すとこのように開きました。表側(黒)と裏側(青)にそれぞれ基板がネジ止めされ、フレキで繋がっています。そしてやはり内部からもタバコ臭が臭ってきます(笑)
今更ですが分解するとおそらくメーカーの保証は受けられないと思いますので、作業はすべて自己責任でお願いします。


簡単そうな裏側からバラしていきます。フレキは元に戻せない可能性があるので外さないようにして、黒いパーツから伸びている小さなコネクタだけをそっと外します。

裏側の基板と黒いパーツが外せました。

想像したとおり、黒いパーツはリチウムイオン電池を格納するケースでした。電池の容量は、3.7V/850mAhと、昨今のスマホに比べると格段に低容量なタイプです。
開発者インタビューによると、単三電池駆動よりリチウムイオン電池のほうが筐体をコンパクトにできるとのことでした。確かに板状のポリマー電池なので、かなりの省スペースで設置できています。

続けて表側の基板も外していきますが、一番大きなTEMPO/VALUEツマミだけは引っ張って外しておきます。それ以外のツマミは外す必要はありません。


ボタン類はこのように基板の上に載っていました。

このようなシリコンっぽい一体成型のボタンでした。そしてこのボタンたち・・・すごく臭います(笑)

ともあれこれで分解完了です。ネジを間違えないように整理しておきます。裏側(青)の基板とバッテリーはシルバーの短めのネジで、それ以外はブラックの少し長めなネジで固定されていました。
清掃方法1:基板はアルコールで拭き掃除

分解ができたので各部をできるだけクリーニングしていきますが、基板など水濡れ厳禁なパーツはアルコールを含ませた綿棒で表面を拭き取っていきます。小生は手元にあった消毒用エタノール(アルコール濃度80%前後)を使用しました。

無水エタノールに比べ濃度が低い消毒用エタノールですが、基板に油性マジックで書かれた印なども溶かしてしまうくらいなので、掃除には充分な効力がありそうです。ハンダの細かい突起に綿棒を引っ掛けてハンダを外してしまうと一巻の終わりなので、あまり細かいところはフキフキしないように加減しました。
綿棒がヤニで黄ばんでくるようなことはなかったのですけど、この拭き掃除で基板から臭うタバコ臭はかなり低減されました。
清掃方法2:水洗い

その他のパーツもアルコールでフキフキしても良いのですけど、水洗いできるものは丸洗いしてしまった方がさっぱりしそうです。というわけで、ぬるま湯にマイペットを少量入れ、1時間ほどつけ置きしました。

そのあと古歯ブラシで全体をブラッシングし、水で充分にすすいでから乾燥させます。
さて気になる結果は・・・
プラスチックでできている表側、裏側は、ヤニや汚れがかなり取れたのか、タバコ臭はほぼなくなりました!
一方で、ボタンに付いた臭いはあまり落ちませんでした。
ボタンはおそらくシリコンゴムでできています。シリコンゴムは多孔質(小さい穴がいっぱい開いている構造、ポーラス構造と呼ぶらしいです)なので、臭い成分を付着させやすいそうです。

臭いを吸着しやすいのであれば、ファブリーズをぶっかけてその成分を多孔質の穴に押し込んでしまえば・・・と思いやってみたのですが、全く効果がありませんでした。

洗濯機にも放り込んでみました(もちろんネットに入れて)が、これも目立った効果は無し。
調べてみると、塩素系漂白剤に漬けて、なおかつ引っ張ったりして多孔質を変形させて臭い成分を押し出す、なんて荒技も紹介されていました。スマホのシリコンケースなど平板なものなら良いですけど、J-6のスイッチにそれをやるのは壊してしまうリスクが大きいので、結局やりませんでしたが。
結果、程よいところで諦めた

結局、プラ部品や基板の臭いはほとんど取れたものの、シリコンゴムでできたボタン類の臭いが取れず、臭い取りの成果としては70点くらいのものでしょうか。徹底的に掃除することでJ-6を壊してしまっては本末転倒の極みですので、この程度で諦めるのが肝心なのかもしれません。
再び組み立て直して動作チェックしました。きちんと電源が入って音も出たので、いちおう原状復帰できた感じ。いかにも電子タバコっぽかった臭いは、良く言えばアロマやお香のようなマイルドな臭いに変わりました。やってよかったと思えるレベルには達したので、結果オーライとしましょう。
追記:1年後どうなったか

2025年2月28日の追記です。コードシーケンサーを使いたくなり、ちょっとご無沙汰していたJ-6を取り出しました。以前はアロマのような残香が気になっていましたが、、、なんとニオイはかなり消えていました!
鍵盤に鼻を近づけるとわずかにニオイはしますけど、もしかしたらニオイ成分がかなり揮発したのかもしれません。タバコのヤニの臭いは時間が経ってもほぼ消えないというのが実感ですけど、アロマ的な香りなら時間が解決させてくれるかもしれませんね★





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