XLRコネクタ比較その3~ノイトリックXLRコネクタ

XLRコネクタ比較連載の第3回は、ノイトリックのXLRコネクタです。
ノイトリック(Neutrik)はリヒテンシュタインに本拠を置くプラグメーカーで、これ以上改良のしようがなさそうにみえるXLRコネクタを、更に進化させるべく日々改良を加え続けています。
2022年1月13日に発表されたリリースによると、ブッシングのデザインを変えたとのこと。XLRコネクタとしての性能にはおそらく影響しない部分であっても、現状に甘んじることなく進化し続ける企業姿勢です。
ノイトリックの重要な経営理念の一つには「実際のニーズに一歩先んじる」があります。即ち市場でのニーズを予見し、そのニーズが顕在化したときにはそれに応えられる製品を既にご用意している、といった先見性に富んだ製品開発を最重要項目にかかげています。
会社案内 | Neutrik
実際のニーズに一歩先んじるって、言葉を変えれば現状でニーズがなくても実行するということですよね。日本の企業ではまず無理・・・

そんなノイトリックのXLRコネクタは、他社のそれと比べると斬新なデザインで、かつユーザーの視点に立ったフレンドリーな設計思想が随所に見られます。

ラインナップが1種類、または数種類しか無い他社に比べ、ノイトリックのXLRコネクタはたくさんの種類がラインナップされています。その中から小生購入したのは、スタンダードな以下の4つ。それぞれ2個ずつ購入しました。
- NC3MXX XLRオス シルバー
- NC3FXX XLRメス シルバー
- NC3MXX-B XLRオス ブラック
- NC3FXX-B XLRメス ブラック
型番に-Bが付くことでブラックモデルとなります。

2022年6月冒頭現在のサウンドハウスのプライスタグはこんな感じ。
円高の影響かときどき価格変更が行われているようで、小生が4月~5月に購入したときはもう少し安かったです。とはいえ、他のECサイトに比べると圧倒的に安いですが。

小さな商品を複数購入すると、サウンドハウスさんはこのようにまとめて一つの袋に入れてくれます(モノによるかもしれません)。
出荷までの工数が増えて大変じゃない?とも思いますけど、数を間違えず発送するには必要な工程なのかも。こちらとしても買ったものが分かりやすくありがたいです。

パッケージはこんな感じ。右はクラシックプロのXLRコネクタです。
クラシックプロのコネクタは組み上がった状態ですが、ノイトリックは各パーツがバラバラに入っています。製造過程での工数を減らすためか、それともユーザーのことを考えてのことか(ケーブルを作るときは一度バラさなければなりませんから)、いずれにしても特徴的ですね。

4種類のXLRコネクタはすべて同様に、バラした状態でパッケージされていました。

ビニールのパッケージにはミシン目が入っていて、ハサミなど使わなくても開封することができます。ゴミも最小限ですし、忙しい現場ではありがたいですよね。

メス側のNC3FXX(シルバー)とNC3FXX-B(ブラック)をチェック。左から、ハウジング、インサート、チャック、ブッシングと呼びます。

ノイトリックのカタログより。業界標準であるITT CANNONとの比較では、ノイトリックの優位性が語られています。

ケーブルを押さえるチャックと、コネクタ全体を固定するブッシングを見てみます。

チャック側面にはスリットが入っています。はんだ付け後でもチャックを取り付けられる、フールプルーフな設計です。

特徴的な形状のブッシング。ちなみにブッシングには別売のカラーバリエーションがあるほか・・・

なんとリング部分だけでもカラバリがあります。似たものが多いケーブルの見分けに良さそうですね。しかも!

蓄光タイプリングも!現在のところまだ流通していないようですが、おもしろい商品ですね!

インサートはこんな形状。コンタクト(接点)のメッキ素材が違い、NC3FXX-B(ブラック)は金メッキ、NC3FXX(シルバー)は銀メッキです。 ピン番号の表示もあります。

ここにピン番号のほか、ノイトリックが本拠を置くリヒテンシュタイン(LIECHTENSTEIN)の文字があります。

ハウジング比較。NC3FXX-B(ブラック)はブラックメッキ、NC3FXX(シルバー)はニッケルメッキとのこと。ブッシング側に向かって広がっているほか、ロック解除ボタンの意匠もノイトリックならではのものです。

こちら側にはnc*fxxの刻印がありました。コンタクト数の異なるNC4FXXなどにも使える共通ハウジングなのでしょう。

組み立ててみました。各パーツがカッチリと嵌まるので、作業をしていて手が喜んでいる感じがします。

シルバーもブラックも、あまりテカテカせずマットな輝きです。

LIECHTENSTEINの文字が誇らしげ!

続いてオス側。NC3FXX-B(ブラック)とNC3MXX(シルバー)です。チャックとブッシングはメス側と共通パーツです。

インサートはこんな感じ。メス側と同じく、コンタクトのメッキ素材はNC3FXXが銀メッキ、NC3MXX-Bは金メッキです。

コンタクトの裏側はこのようになっています。

ここにもLIECHTENSTEINの文字がありました。

こちら側にもピン番号が表示されています。

オス側のハウジングを見てみましょう。ロック窓はなく、内側にロック用の溝が彫られています。外側にはNEUTRIKのロゴとnc*mxxの刻印が。

ハウジング内部はブッシング用のねじ切りのほか、ハウジング用の切り欠きなど、結構複雑な構造をしています。

組み上げて、オスメスを並べてみました。オス側にはNEUTRIKの刻印と楕円の半分が、メス側にはノイトリックのロゴマークが楕円の半分のような形のロップ解除ボタンに配されています。つまりこれは・・・!

オスメスを接続すると、それぞれの楕円がつながって一つの楕円になりました!なんという遊び心!

質感は高く、なめらかな表面の手触りも抜群!先程も書きましたが手が喜んでいる感じがします。嵌合の具合もバッチリで、これでマイクケーブルを作ったら幸せになれそう!
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