TASCAM DR100mkIIを分解した。XLRコネクタが抜けなくなったが結果は?
TASCAM(タスカム)のPCMレコーダー DR100mkIIを分解しました。理由は、接続したXLRコネクタが抜けなくなったから。XLRコネクタが抜けないとDR100mkIIの運用に重大な支障をきたしますので、再起不能も覚悟しつつ作業を行いました。
DR100mkIIに何が起こったのか
とあるXLR-3.5mmケーブルをDR100mkIIに接続して、動作検証をしていました。検証が終わりケーブルを抜こうとすると・・・
全然抜けない・・・ッ!!?
プッシュピンを押してもロックが外れる気配がなく、XLRコネクタをペンチで掴んで大きな力を掛けても動く気配がありません。
XLRコネクタが抜けなくなる事案はなかなか検索してもヒットしませんが、根気よく検索すると同様の事案のためにDR100mkIIを分解した動画を見つけました。
DR100mkIIを分解することでXLRレセプタクルに内部からアクセスし、コネクタを抜くことに成功しています。まさに小生がやりたいことです。
Sometimes the microphone cable XLR can be stuck in digital recorder Tascam DR-100 MkII. That could happen with some kind of cable that has a little slot in the socket.
デジタルレコーダーTascam DR-100 MkIIでは、マイクケーブルXLRが抜けなくなることがあります。それは、ソケットに小さな溝がある、ある種のケーブルで起こる可能性があります。
TASCAM DR-100 mkII How to DISASSEMBLE, Microphone Cable Stuck, (Music) – YouTube
ソケットの小さな溝というのがどの部分を指すのか分かりませんが、とにかく動画で分解手順が詳細に紹介されていますので、これに沿って作業をしてみることにしました。
DR100(mkIIではありません)の分解図を見つけました。素人の小生には読み解くのが難しいですけど、手順に迷ったときに参考になることでしょう。
分解開始
精密プラスドライバーと、スマホの分解なんかでよく使うプラスチックのヘラを用意しておきます。
小生が使用しているのはアネックスの000番プラスドライバー。100均の精密ドライバーセットより精度もあり、安価ながら良い工具です。
ジョグダイアルの隙間にヘラを差し込み、外します。本体側に4箇所ツメがあり、ダイヤルの裏側に受けがありますので、組み戻す際はそれを合わせるようにします。
右側面下部のネジ2つを外します。
たくさんのネジを外していくので、散らからないよう注意しましょう。
右側面上部のネジ1つを外します。
左側面下部のネジ2つを外します。
左側面上部のネジ1つを外します。
背面上部のネジ2つを外します。
ここの2本のネジは今までより長いものでした。
裏プレートが外れました。
裏側には4つのスライドスイッチがあります。右上(写真だと右下)のスイッチだけには赤いポッチが付いています。ファンタム電源のon/offを示す印です。
スライドスイッチはすべて同じ形状でした。
表側のプレートを外します。
表と裏のプレート裏側はこんな感じ。
上部のリモコン受光部カバーと、中程にあるインプットセレクターを外します。
セレクターは、上側に赤い印があります。この印がケースのスリットを通して表側に見え、入力がわかるようになっています。意外と原始的ですが、視覚的にはバッチリですし故障にも強い設計ですね。
表側下部のボタンを外します。このように一体構造になっています。
外すのにはコツがいりますが、3箇所にツメがついていますので、それを抜くようにして外します。
ボタンを外すと基盤が見えてきました。この部分にあるネジ1つを外します。これはデジタル入出力用の基盤で、周囲の基盤から独立した設計になっています。
裏側にいきます。電池ボックスのネジを外します。ボックス左右と下部にある3つのネジです。
三脚ネジ受けを外します。ネジは2つ。
ネジを外すのはこれで終わり。ここまでネジの種類は4種類でした。
あらためて、外したネジや小さなパーツが散逸しないよう、作業場から隔離しておきます。
小生的には一番の難関だった、電池ボックス外しに取り掛かります。接点は本体から出て電池ボックスに入り込んでいますので、接点を電池ボックスの小さな穴から逃しつつ外していきます。
10分以上格闘し、ようやく電池ボックスを取り外せました。
接点の形状はこんな感じ。
分解はここまでで終了です。
XLRコネクタを外す
電池ボックスを外すと、XLRレセプタクル(要するにXLR受け)の裏側が見えてきます。
レセプタクル上部に抜け防止用のラッチがあります。このラッチとXLRコネクタとの相性が悪くラッチが動かないためにコネクタが抜けないので、このラッチ部分に細いマイナスドライバーを差し込み、ラッチを動作させます。
ラッチを動かすと、何事もなかったようにXLRコネクタが抜けました!
あらためて、ラッチ構造を目視で確認してみます。手前まできている上部の金属プレートに加え、内部にもプレート端が見えます。
プッシュピンを押してプレートを内部(こちらから見て手前側)に押し出しつつ、この2つの間にマイナスドライバーを突っ込んで押し広げると、ラッチが開放されXLRコネクタを抜くことができました。
動作検証、組戻しと雑感
今回の分解の原因となったXLRコネクタは右側。左側はサウンドハウスのマイクケーブルです。
左のサウンドハウスのケーブルは、DR100mkIIで何回も使っていますが、抜けないなどのトラブルはありませんでした。
右のケーブルは今回抜けなくなるトラブルに見舞われましたが、動画作成者の指摘のとおり、ソケット上部に小さな溝がありますね。
このスリットがトラブルの原因だったのかもしれませんが、でもここにスリットがあるコネクタって、有名品にも結構ありますよね!?つまりは、このスリットの工作精度にもよるのでしょうか。残念ながらこのケーブルは安価な中国製、しかも個人輸入した音響機器に付いていたおまけですから・・・
さて組み戻す前に動作を検証します。せっかく外したコネクタですが、もう一度接続してみると・・・やはり抜けませんでしたwあらためてマイナスドライバーを使い強制排除しました。
ついで、サウンドハウスのケーブルを接続してみると・・・今までは問題なく着脱できていたのに、抜けなくなってしまいました。仕方なくマイナスドライバーで強制排除し、今回作業していない方に接続してみると、着脱は問題ありませんでした。
作業した方のプッシュピンを押してみると、バネの反発力が弱くラッチが動作していないような気がします。つまり、XLRレセプタクルを壊してしまったようです!このままだとこのチャンネルのXLR入力が使えません!困った!!
とりあえず組み戻しました。いまさらですが、シルバーのネジは精密ドライバーではなく0番ドライバーがフィットしました。
当ブログで紹介しまくっているPB SWISS TOOLのドライバー。100均のセット品とは比較にならない精度と耐久性を持っていて、素人のDIY用途ならまさに一生モノ。早く購入したほうが幸せになれますよ!!
不具合のあるコネクタを誤って使わないように、mt fotoグレーを絆創膏のように貼っておきました。今後どう運用するか考えたいと思います。
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