ヒグマの出現事例が頻発する今年の北海道。図らずもこのタイミングでヒグマに関する文献を読んでいた。

さすが北海道新聞、記事一覧に「クマ」のタグがあり、ヒグマの目撃情報や被害などの記事タイトルが一覧で出てきます(一部は有料記事)。
今年はなぜかヒグマ被害の情報が多いです。悲惨な被害に心を痛めつつ、驚くべきヒグマの習性に戦慄を覚えています。
その習性とは、一度得た獲物はどこまでも自分のもの。横取りする奴は許さない。美味しい獲物の味を覚えたら次も狙う。というもの。
すなわち、獲物に対する執着です。
1915年12月に現在の北海道苫前町で起こった三毛別(サンケベツ)羆(ヒグマ)事件は、開拓民7名が死亡、3名が重症を負い、日本史上最悪の熊害事件といわれています。
この事件の記録と教訓を後世に伝えようと、木村盛武氏が生き残った証言者から聞き取りを行い1965年に発表したのが「獣害史最大の惨劇苫前羆事件」で、これを元に小説化されたのが戸川幸夫 「羆風」(1965年)と吉村昭「羆嵐」(1977年)です。
「獣害史最大の惨劇苫前羆事件」は「慟哭の谷」として書籍化、「羆嵐」も文庫&Kindle版が流通しています。
以前から「羆嵐」は読んでおかねば、と思っていたところ、AmazonのKindke読み放題サービスKindle unlimitedに「羆風」の漫画版を発見!
戸川幸夫の「羆風」を釣りバカ日誌の作者である矢口高雄が作画し、かつ木村盛武にも取材して「羆風」にないシーンも盛り込んでいるなど、文字どおり野心作です。
これを読むと、厳しいという言葉では現せないほどの荒野の開拓にあたった開拓民と、もともと主として君臨していた羆との、避けられない戦いがそこにあったことがわかります。
ここまで酷い熊害はもしかしたら回避できたかもしれない、そと思える場面があったり、ヒグマの異常な行動パターンに翻弄される人間たちがいたりと、読了するころには事件の全容と、そこから私たちが教訓とすべきことが理解できます。
少なくとも北海道民は読んでおくべき、道民の財産ともいっても過言ではない作品です。
ヒグマの特性については、野田サトル「ゴールデンカムイ」にも出てきますね。ゴールデンカムイのアニメ版はプライムビデオで見られるので、少しずつ見ています。
アニメから入ってしまったので、原作を読みたいな~と思っていたところ、驚くべき情報が!!
ま、ま、まさかの『ゴールデンカムイ』全話無料公開!! 9月までたっぷり読めるから最終決戦に備えよ https://t.co/4tkrvHzoCe
— ロケットニュース24 (@RocketNews24) July 29, 2021
なんと9/17までの期間限定で、ゴールデンカムイが全話無料で読めるとのこと!しかも会員登録なども必要なく、何ならウェブブラウザで閲覧できてしまうので、特別なアプリのインストールも不要!
道民にとって切っても切れないアイヌの文化の情報も豊富に触れられていて、矢口版「羆風」を読み終えた小生は引き続きゴールデンカムイを必死に読み進めている今日このごろなのです。
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