YAMAHAの電子ピアノP-45を分解して鍵盤を修理しました。

2021-12-13きまぐれ雑記, 工具, 音楽DIY, 修理, 分解

ヤマハ | P-45 – Pシリーズ – 概要

数日前に我が家に来たP-45。中古で買ったのですが動きがおかしい鍵盤がいくつかあります。

写真ではよく分かりませんが、スコスコと動いてしまう黒鍵が2つあります。鍵盤はプラスチック製だと思うのですが、壊れているか外れているか・・・何かがおかしくなっているようです。
何にしても原因が分からないことには対処のしようもありません。まずは分解してみることにしました。

まずはどこから分解できるかじっくりと観察します。本体表側にはネジ等は一切ありません。鍵盤の周りのパーツは一体成型です。裏側を見てみるとネジがたくさん。

たくさんのネジをせっせと外しました。すると・・・

底面がこのように外れました。底面と上部は2本のケーブルで繋がっていますので、これを引きちぎらないように慎重に!ケーブルはたぶん外せるのでしょうけど、壊してしまったら大変なので外さないで作業します。

多分これがメインボードです。

下にあるのが鍵盤ユニット側です。次に、鍵盤ユニットを上カバーに固定しているパーツを外します。

外れました。

鍵盤ユニットを上部カバーから外します。ネジ8本で止まっていました。ネジの場所はわかりにくく外すとどこだったかわからなくなりそうなので、ネジの位置に赤マジックで印を付けておきました。

鍵盤ユニットが外れました。メインボードから出ていたフレキケーブルの1本が鍵盤ユニットにつながっていました。

こんな風に鍵盤がユニットになっているさまは、本物のピアノを彷彿とさせますね。さすがピアノメーカーのヤマハさんです。

患部を探します。真ん中の2つの黒鍵(F#とG#)の根本が割れてベースから外れていますね。

鍵盤はこのように、1オクターブがひとつのユニットになっています。

裏側はこんな感じ。白鍵はさらに2つのパーツに分解でき、全部で3つの鍵盤群で1オクターブを構成しています。

鍵盤を外したあとには膨大な数のスイッチ類が見えます。そうですね、大きな楽器ですが結局はスイッチの集合体なのですね。鍵盤と擦れる部分には白色のグリースが塗布されていました。弾き込むにつれキシキシ音が出てきたらグリースの追加で対処できそうです。

鍵盤の下にはこのような鉄の棒が付いています。本物のピアノの鍵盤の重さや打鍵したときの感触を再現しており、低い音ほど鉄棒が長く重く、高い音ほど短く軽くなります。そして驚くべきは、白鍵より黒鍵のほうがわずかに短い(つまり軽い)こと。白鍵と黒鍵の質量の差をシミュレートしていると思われます。そこまでやるか、と素人ながらに感じ入りました。

本題に戻りましょう。患部をよ~く観察します。ベースから鍵盤が割れて離れてしまっています。何らかの方法で、ベースと鍵盤とを接続すればよいわけですが・・・ABS樹脂なので普通の接着剤では付きません。よしんば付いたところで、厚さ1mmに満たない接着面なのですぐに取れてしまいそうですね。そこで小生がとった方法は・・・

小生が楽譜制作で長年お世話になっているキハラのページヘルパーPを使います。

ページヘルパーP キハラ株式会社:検索詳細

ページヘルパーPを短冊状に切って、こんな感じで貼り付けてみました。

鍵盤ユニットに戻します。

大量のネジを間違いなく締め直します。数えるのも嫌になるくらい多いです。というか本当に数えてません(笑)すべてプラスの2番のネジです。ネジが多いのでねじ回しは良いものを使いましょう。

毎度のことですがPB Swiss Toolsのプラスドライバーはマジでおすすめです。

組み立て直して動作確認。問題なく音が出ましたので、ケーブルの断線などはありませんでした。件の鍵盤はというと、他の鍵盤と比較するとわずかにグラつきがありますが本当にシビアな演奏をしない限りは問題なさそうです。修理はとりあえず成功です。

まあ今後運用し続けるにつれ同様の破損が予想されるわけですが、本当はというとしっかりと接着するか、壊れていないパーツと交換したいところですね。接着するとすればプラリペアが良いかもですね。

電子ピアノの鍵盤を修理してみたよ。 プラリペアが便利! | kablog

プラリペアはABS樹脂にも使えるようです。接着だけでは心もとないのでABS樹脂のプラ板で裏打ちをして強度を確保したいところですが・・・逆に鍵盤のタッチが重くなりそうで難しいところですね。
補修パーツは一般には流通していません。というか、ネットの情報を鵜呑みにするならば一般ユーザーには販売してもらえないようです。まあYAMAHAとしては分解は保証対象外ですから分解を奨励するようなパーツを販売する訳にはいかないでしょう。そうなると・・・ハードオフなどの中古屋さんで同じ鍵盤パーツを使ったジャンク品の電子ピアノを購入して、パーツ取りをするのが現実的な落としどころなのかもしれませんね。

電子ピアノ”YAMAHA P-115B”の分解と修復 | jaikki'z blog

分解にはこちらのサイトのP-115分解例を参考にしました。P-45の分解記事は小生が探す限りネット上にはありませんでしたね。今後P-45を自己責任で分解されたい方の参考になれば幸いです。