廃線を巡る旅。旧国鉄倉吉線泰久寺駅跡地を訪れた。

たび旅, 鉄道

旧倉吉線は、山陰本線旧上井駅(現:倉吉駅)から旧山守駅までの約20kmの区間です。1985年に廃線となっておよそ40年弱。当時の中心地だった旧打吹駅付近には現在も倉吉市役所があることから行ったことがあったのですが、打吹駅よりも先にはほとんど行ったことがありません。

廃線は当然ながらどんどん朽ちていきます。今見ておかなければいつまで見られるかわかりません。というわけで、2023年の大型連休に行ってきました。

旧国鉄倉吉線廃線跡探訪マップ(PDF)

こちらのマップを見てわかるとおり、関金駅から先にレールが残っている区間があります。

旧国鉄倉吉線廃線跡 観光案内所オープン オリジナルグッズも販売 | 日本海新聞 Net Nihonkai

ちょうど今年4/29に、泰久寺駅手前に観光案内所や駐車場がオープンしました。GW当日にオープンするとは、なんというグッドタイミング・・・!

また今回色々調べてわかったのですが、山守駅から先に岡山方面まで続く計画もあったそうです。知らなかった・・・

ここが観光案内所。駐車場、トイレも併設しています。場所はこちら↓

もともと「泰久寺入口」バス停があった場所のようです。

案内所の後ろには盛土が見えます。ここが線路のあった場所です。

線路が泰久寺に向けて延びています。

100mほど歩いたところで盛土は途切れ、線路も剥がされている区間になりました。

細い道路を通過したところで線路が復活。小さな集落の中に続いていきます。

1車線道路と用水路と線路、瓦屋根の家々。人工物ばかりではあるけれど、なんか原風景って感じ。

このあたりは、生活道路にするために線路が土砂で埋められ、レールの頭だけが露出していました。

少し進むと集落は終わり、再び線路が復活。

その先には、泰久寺という地名の名前の由来?なのかどうかわかりませんが曹洞宗大久寺があります。住所は倉吉市関金町泰久寺で、こちらはだいきゅうじと読みます。つまり泰久寺にある大久寺(いきゅうじにあるいきゅうじ)ということです。

線路のそばに竹藪が迫っていたり・・・

周辺には田畑が広がっています。

更に進むと、線路が再び途切れました。鬱蒼とした森に進んでいくように見えますが・・・

跨道橋だったようですが、きっと安全のために撤去されたのでしょう。

詳細を記した古いプレートにはこんな記述がありました。

泰久寺橋りょう 設計:米子建設事務所 施行:合資会社西山組 設計荷重:KS15 基礎工:コンクリート 基礎根入:天端から5M 着手:昭和14年2月12日 しゅん功:昭和16年9月9日 

線路は橋梁の先に続き、線路脇に小さな構造物が見えました。

お目当ての泰久寺駅跡に到着しました。道路の向かいにはお墓がいっぱいありました。

ちなみに泰久寺駅より手前の道路側は私有地とのことで、駐車はできません。

泰久寺駅ホームが見えてきました。2両編成ですらはみ出してしまう小さなホームです。

ホームのそばには案内板が。

ホームにはレプリカの駅銘板が設置されています。

レプリカとはいえ、いい感じで退色していました。すぐ向こうに畑(つまり私有地)があるのも廃線あるあるではないでしょうか。

泰久寺駅から先が、旧倉吉線ハイライトのひとつ、森のなかに延びるレールです。

森とはいっても、俯瞰で見てみると線路敷設する際にたまたま通過したちょっとした山のようです・・・が、実際に現場に立ってみると、

まるで森林鉄道かという趣です。

さすがに倉吉線営業時にはこんな樹木は無かったと思いますが。

竹藪もあり、

これが有名?な、線路の真ん中にニョッキリ生えた竹です。

竹って1日に10cm以上も伸びるそうですね。この辺りも寒さは厳しいところですから、ようやく寒さもほぐれた今の時期は竹にとってもまさに春なのでしょう。

線路からは田園地帯が望めます。ここを通っていた汽車からも、こんな風景が見れたのでしょうか。

もう少し進むと山守トンネルがあるのですが、事情によりこの辺りで引き返しました。

近代日本は鉄道とともにあったといっても過言ではないでしょう。人力や牛馬、また海運頼みだった物資の輸送が、鉄道というインフラによって飛躍的に加速し物量も増加、人も動いて作り上げた成長時代。

小生は先人たちの築いた現代に生きています。現代ではオンデマンドな輸送に重点が置かれつつあり、大量輸送の需要が未だにあるにも関わらず、鉄道はコストの掛かるインフラとみなされて、廃止の波は止まることなく進んでいます。

状況の変化は直線状ではなく波の要素もあるんですよね。一方に振り切れた状態がいつまでも続くわけではなく、必ず揺り戻しが来ます。鉄道が地域のお荷物となってしまっている現状が全国的にあるわけですが、そんな有様を残された線路は静かに見守ってるような、そんなことを考えたりした旅でした。

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Posted by Hermitcrab