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小松左京が1973年に発表した長編『日本沈没』。局所的かつ大規模な地殻変動(地震や噴火を含む)により、日本列島が海に沈むというショッキングな内容で、科学的考証に基づいたリアルな描写と、情報管理の難しさ、社会恐慌と荒廃、そして日本民族の集団脱出計画といった難題に取り組んでいく人々の群像劇が描かれます。

今から50年も前に発表された作品であるものの、日常の隣に自然災害がある昨今、『日本沈没』はいつでも重大な示唆を与えてくれる名著だと思います。

小生は文庫版『日本沈没』をすでに読了していますし、2021年に小栗旬の主演で放送された『日本沈没-希望のひと-』も興味深く観ました。現代日本に時代を移したこのドラマではスマホや大型コンピュータも登場し、現代に日本沈没が発生した場合をよりリアルに描いていたと思います。

今回紹介するのは、さいとう・プロが1973年から1974年にかけて連載していた漫画版『日本沈没』です。リイド社のSPポケット版、ペーパーバックで安価に再販されたいわゆるコンビニコミック版です。

上下巻に分かれていますが、見ての通りかなりの厚さです。ページ数は上下巻合わせて約1,000ページ弱ですが、ペーパーバック、要するに表紙も中身も安価で軽量な紙に印刷されているので見た目より重量は軽いです。

ストーリーはほぼ原作のとおりで、個性的なキャラクターたちも原作に忠実ですが、そこはやはりさいとう・たかを先生率いるさいとう・プロ作品。右上のコマに主要人物の小野寺、幸長、田所がいますが、さいとう・プロ作品ではお馴染の顔をしていますね。

原作の『日本沈没』はなかなかの文章量なので読むのに時間と根気が必要ですけど、漫画版だと読みやすい方もいるかもしれません。いずれでも良いので一度は『日本沈没』に触れてみることをお勧めします。

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このブログでも何度か書いていますが、小松左京の作品の芯には常に戦争、それも自身が身をもって体験した太平洋戦争があります。戦争を描写するのにSFという手法を選択した彼は、多角的に戦争をとらえ、様々なifの物語を綴っています。

恐ろしいifももちろんあります。彼のデビュー作とされる『地には平和を』で描かれた世界では、1945年8月15日正午に放送されるはずだった玉音放送が放送中止され、クーデターにより政府が転覆し本土決戦が起こってしまいます。それを本来の歴史に戻すべく未来からタイムパトロールが来て・・・といった感じに、本来の歴史と誤った歴史とが交錯する物語です。

1961年に第1回空想科学小説コンテスト努力賞を受賞、1963年に『宇宙塵』で発表された『地には平和を』は、発表から60年経った今でも深い示唆を読者に与えてくれます。人類は戦争を不可避なのか、戦争解決を超文明に委ねるしかないのか・・・と諦観しつつも、戦争回避のためにどんな困難も乗り越えなければならぬ、という厳しくも力強いエールも発しています。

短編集「召集令状」は文庫本で持っていたんですが、いつでも読みたいため自炊サービスを利用して電子書籍化しKindleに入れています。

終戦記念日の今日、この記事を書いたこのあとも静かに小松左京を読もうと思います。

終戦から75年、戦争作品を作り続ける意味とは。NHK朝ドラ「エール」で古山裕一が戦地へ赴き、小松左京の短編集「召集令状」を改めて読んで。 | HERMITCRAB

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小松左京は小生の愛読書のひとつです。もう数十年来、古本屋巡りをして文庫本を集めてきました。

断捨離のため、一部を電子書籍化しました。

電子書籍化したデータをKindle Paperwhiteに入れて読んでいます。

ですが、やはりオリジナルデータの方が、読みやすくてgoodです。Amazonの読み放題サービスといえばKindle Unlimitedですけど、ふと見てみると冒頭の画像のように、小松左京の作品がたくさんUnlimitedの対象になっていました。

一度Kindle Unlimited対象になったとしても、ずっと対象のまま、というわけではありません。なにか商売上のカラクリがあるのでしょうが、時期をおくと対象から外れることがよくあります。逆も然りで、対象外だった作品が対象に含まれることもあります。

Kindle Unlimited対象の本だけを探すのは、Amazonの検索システムではうまく行きません。どのように設定しても、対象と対象外とが混ざってヒットしてしまいます。

そこで見つけたのがこちらの検索サイト。Kindle Unlimited対象本だけを検索してくれます。これはブックマークに入れておくレベルだと感じました。

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クマ:北海道新聞 どうしん電子版

さすが北海道新聞、記事一覧に「クマ」のタグがあり、ヒグマの目撃情報や被害などの記事タイトルが一覧で出てきます(一部は有料記事)。

今年はなぜかヒグマ被害の情報が多いです。悲惨な被害に心を痛めつつ、驚くべきヒグマの習性に戦慄を覚えています。

その習性とは、一度得た獲物はどこまでも自分のもの。横取りする奴は許さない。美味しい獲物の味を覚えたら次も狙う。というもの。

すなわち、獲物に対する執着です。

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Kindle Paperwhite第10世代(第4世代)を購入しました。電子書籍を読むためのAmazon謹製電子ペーパー端末です。

餅は餅屋!断捨離も兼ね、本の電子書籍化を業者に依頼してみた。結果は・・・! | HERMITCRAB

Amazonプライム会員が追加料金無しで利用できるPrime Readingや、先日の電子書籍化により、電子データの本に接することが否応なく増えてきた小生。実はすでにKindle端末を持っていたのですけど、先週のプライムデーで最新モデルがセールだったので2台目を購入した次第☆彡

Kindleには3種類ある

Kindle電子書籍リーダー 通販 | Amazon

Kindle端末端末は現在、無印KindleKindle PaperwhiteKindle Oasisの3種類のラインナップがあります。それぞれカラーバリエーションがあるのと、PaperwhiteとOasisは容量の異なるモデルがあります。また広告の有無が選べ、広告ありは無しより安価なものの、読書中以外の画面でAmazonの広告が色々出るとのこと。ネットへの接続も、4Gモバイル回線が使えるモデルもあります。

Kindle Paperwhite第10世代を購入!

今回はKindle Paperwhite32GB広告無しwifiモデル+Kindle Unlimited3ヶ月付きを購入。リンク先を見ていただければわかるとおり定価17,980円ですが、先週のプライムデーではセール価格で10,980円でした。Amazon端末はプライムデーなどセール時に値引きされるので、すぐに必要でなければセールを狙うのがベターです。

開封していきます。続きは以下をどうぞ。

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今年の年始から断捨離に目覚め、いろいろなものを処分しております。

でも、本だけはなかなか手放せない・・・!

懐かしい本たち・・・手にとると、これを手に入れたときのことが脳裏によみがえります。

お金がなかった頃、毎日のように数軒の古本屋をハシゴして100円の文庫本を買い漁っていたこと。

映画に感動し、原作を探してこれまた古本屋めぐりをしたこと。

受験のとき、今まで見たこともないような大都会に一人で初めて訪れ、タウンページを片手に古本屋めぐりしたこと。

・・・なーんて、出てくるのは古本屋の話ばかりですね。感傷に浸るのはもうやめます。増え続ける本は生活の場所を奪っていきます。セピア色の思い出より今の生活のほうが大事、ということで、どうしても手放せない本は電子書籍化してしまいましょう!

電子書籍化に必要な作業は、大きく分けて裁断スキャニングです。裁断用の大型カッターとスキャナーを買って自ら電子書籍化することを自炊といい、自炊を指南するブログサイトもたくさんあります。・・・が、電子書籍化はプロにお任せすることにしました。昔の人は良いことを言ったものです。そう、餅は餅屋です。

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NHKの朝ドラ「エール」を見ています。ここまでずっと、気弱だった裕一が妻・音の支えで音楽の才能を開花させるという本筋と、個性豊かな仲間たちによる愉快な群像劇が楽しくて見続けていましたけど、作中の時代は流れ大東亜戦争真っ只中、裕一の作曲する軍歌は売れに売れ、いよいよ裕一自身も慰問のため戦地へと旅立つことになりました。

戦争という題材は見る方はもちろんのこと、作り手にとっても厳しい題材でしょう。ただ、当時を生きていた人物をモデルにした作品である以上、避けては通れないテーマでもあることでしょう。戦争を知らない世代の小生にとって、戦争とは残された記録やこのような映像作品、また幸運にも出会えた戦争体験者の証言でイメージするしかありません。そしてそのイメージとは・・・言葉を選ばなければ、とにかくどうしようもないもの。人間が作り出しているものにも関わらず、個々の人間にとってはコントロールできない、まるで鉄の雨のような・・・

昔、社会心理学をかじったことがあります。個の集合体である社会の動向を、集団心理などという曖昧なものではなく、もっと科学的に、数値的に捉え、コントロールしようという学問です。個の集合は相互作用によって大きな社会現象というべきものを形成しますが、どのような集団と交わっているかで、個の向かう方向は変わってくるのですよね。そこに個の個性はあまり発現せず、相互作用の中で個は変化していきます(という感じだったと思います)。

社会心理学の研究テーマの一つに限界質量というものがあります。その名のとおり元来は物理などの用語だと思いますが、その考え方を社会心理学に援用したもので、ある現象や流行の発生が、一次直線的な増加ではなく指数関数的に増加することから、一次直線と指数関数的なS字曲線の交点である臨界点で現象や流行の発生を定義し、臨界点を超えると雪だるま式に増加していく、という考え方です。詳しくはググってくださいლ(´ڡ`ლ)

臨界点を超え、社会の動きとしてまるで自ら意思を持つかのように歩き始めんた恐るべき巨人、戦争・・・限界質量という考え方はまた、臨界点を超えた社会現象を収束させるためには、始まったときを遥かに超えるエネルギー量が必要なことも示唆しています。本土決戦、1億火の玉。あたかも日本人が全て亡くなるまで終わらないかのような状態だった太平洋戦争。でも日本人は、ポツダム宣言を受諾し、敗戦を認めることができました。極大に達したかのような臨界値を更に超えるようなエネルギーを費やすことができたのです。

『召集令状』(角川文庫)には、「戦争はなかった」「2020年8月15日」「地には平和を」「春の軍隊」「コップ1杯の戦争」「夢からの脱走」「お召し」「召集令状」の8編と、1995年に収録された小松氏へのインタビューがあとがきとして収められています。作品はいずれも氏がデビューした1960年代~70年代初頭のもので、SF的な要素を多少なりとも含んだ作品ばかりであるものの小松氏自身の戦争体験が根底に流れています。その男以外には戦争の記録・記録が全て失われてしまった世界を描く「戦争はなかった」は、50年以上前の作品であるにもかかわらず、自国第一主義を戦争をしてでも守り通そうとする危うい現代に大音響で警鐘を鳴らしているかのよう。「召集令状」は、令状1枚で有無をも言わさず連れて行かれる恐怖が戦後20年近くたった"現代"に蘇るという作品。平和な日常に突如として軍靴がどかどかと踏み込んでくる「春の軍隊」・・・今でこそブラックユーモアと苦笑いで片付けれられることが、当時は本当に起こっていたのだということを、あらためて教えてくれているようです。

戦争というどうしようもないビッグウェーブが、過去の愚かで滑稽な事件として語られるような時代は、果たしてくるのでしょうか。

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けっこう思い込みってあるものです。そんな時のために、インターネットや又聞きの情報だけに頼らず、信頼できる情報源から裏を取るのは大事ですね。

公認野球規則2015より、グラウンドのスケールについて。

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昔、小学校や中学校で出されていた長期休暇の宿題の定番といえば、読書感想文ですよね。小生は読書感想文が大変苦手でした。苦手でしたというか、何をやっていいのかわからないわけ。自由研究もそうでしょ、まず、あまりにも「自由」すぎて何を題材にしていいのか分からず、そしてどのような方向に仕上げていけばいいのか皆目検討がつかないわけです。親が教員の子なんかは、大変素晴らしい自由研究を発表したりして、ますます萎縮する小生。明確な答えがあってそれを導き出すタイプの宿題であれば、簡単とか難しいとか、時間がかかるとかあるけどまあなんとか取り組める。でも、読書感想文ってどうしようもないわけ。手順がないから。まずなんの本を読んだらいいのかわからない。マンガじゃ(たぶん)だめだし、かといって純文学を読むなんて小学生には不可能だし、誰に聞いたらいいのかもわからないし。ようやく手に入れた「自由」を持て余しちゃってるわけ。